エッジで完結するアプリケーション設計を学ぶ

CDN企業として知られるCloudflareは、いまや「サーバーレスのフルスタック開発プラットフォーム」です。このサイトでは主要サービスの役割と、それらを組み合わせたアーキテクチャパターンを、すべてCloudflare公式ドキュメントを参考文献として学びます。

Cloudflareとは

Cloudflareは世界300都市以上にサーバー網(エッジネットワーク)を持つ企業です。もともとはCDN(コンテンツ配信網)とDDoS対策のサービスとして広まりましたが、2017年にエッジ上でJavaScriptを実行できるCloudflare Workersを公開して以降、データベース(D1)、オブジェクトストレージ(R2)、キュー(Queues)、AI推論(Workers AI)までを揃えた開発者プラットフォームに進化しました。

最大の特徴は「ユーザーに最も近い場所でコードが動く」ことです。東京のユーザーには東京近郊のエッジが、ロンドンのユーザーにはロンドンのエッジが応答します。リージョンを選んでサーバーを立てる従来のクラウドとは発想が異なります。

ポイント:Cloudflareを学ぶコツは「サービスを個別に暗記する」のではなく「Worker(コンピュート)に何をバインドするか」という視点で捉えることです。WorkerからD1・R2・KVなどへはバインディングという仕組みで接続します。詳細はサービス解説へ。

なぜCloudflareを選ぶのか

圧倒的なコスト構造

Workers有料プランは月額$5(約750円)から。R2はデータ転送料(エグレス)が完全無料で、S3系ストレージと比べて配信コストの見積もりが劇的に単純になります。

運用負荷が小さい

サーバー管理・OSパッチ・オートスケール設定が不要。コールドスタートはミリ秒単位で、少人数チームでもグローバル展開できます。

フルスタックで完結

静的アセット配信・API・DB・ストレージ・キュー・AI推論・WAFまで1つのプラットフォームと1つのCLI(wrangler)で扱えます。

学習ロードマップ

  1. Workersを理解するすべての起点。リクエストを受けてレスポンスを返す仕組みと、バインディングの考え方を掴む。
  2. データの置き場所を選べるようになるKV・D1・R2・Durable Objectsの使い分けが設計力の核。サービス解説のデータ編で整理する。
  3. 非同期処理を組み込むQueues・Workflows・Cron Triggersで「重い処理を後ろに逃がす」設計を学ぶ。
  4. AIレイヤーを載せるWorkers AI・AI Gateway・Vectorize・Agents SDKでRAGやエージェントを構築する。
  5. パターンとして組み合わせるアーキテクチャパターン集で典型構成を図で押さえ、ケーススタディで実戦形式の設計判断を練習する。

サービスマップ

主要サービスをカテゴリで整理しました。各カードから解説ページの該当セクションへ移動できます。

コンピュート

Workers/静的アセット/Cron Triggers/Containers

解説を読む →

データ・ストレージ

KV/D1/R2/Durable Objects/Queues/Workflows/Hyperdrive

解説を読む →

AI

Workers AI/AI Gateway/Vectorize/AI Search/Agents SDK

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配信・ネットワーク

CDN・キャッシュ/DNS/ロードバランシング

解説を読む →

セキュリティ

WAF/レート制限/Turnstile/Zero Trust Access/Tunnel

解説を読む →

AWS経験者向けの対応表

AWSの主要サービスとCloudflareの対応関係です。完全に同じではありませんが、最初の当たりを付けるのに役立ちます。

AWSCloudflare補足
Lambda + API GatewayWorkersエッジ実行。コールドスタートがミリ秒単位で、CPU時間ベースの課金
S3 + CloudFrontR2 + CDN/静的アセットR2はエグレス無料。S3互換APIを持つ
DynamoDBKV(結果整合の読み取り中心)強整合・トランザクションが必要ならD1やDurable Objects
RDS / AuroraD1、または外部DB + HyperdriveD1はSQLite。既存のPostgres/MySQLはHyperdrive経由で高速接続
SQSQueuesバッチ処理・リトライ・デッドレターキューに対応
Step FunctionsWorkflowsステップ単位のリトライと再開ができる耐久実行
EventBridge SchedulerCron TriggersWorkerを定期実行する
ElastiCacheKV/Cache APIエッジ各拠点でのキャッシュとして機能する
Bedrock / SageMaker推論Workers AI + AI GatewayAI Gateway経由で外部プロバイダのモデルも統合的に呼べる
Kendra / OpenSearchベクトル検索Vectorize / AI SearchAI SearchはR2のドキュメントからRAGをマネージドで構築
AppSync(リアルタイム)Durable Objects + WebSocket1インスタンスが状態を持ち、接続を束ねる
WAF / ShieldWAF / DDoS対策DDoS対策は全プランで標準・無制限
Cognito(の一部用途)Zero Trust Access社内向け・管理画面の保護に向く。一般ユーザー認証はアプリ側で実装が基本

このサイトの歩き方

1. サービス解説

各サービスの役割・ユースケース・無料枠を、公式ドキュメントへのリンク付きで整理。

services.html →

2. アーキテクチャパターン

静的サイトからSaaS・AIエージェントまで、8つの典型構成を図解。

patterns.html →

3. ケーススタディ

業務統合SaaSを題材に、要件からアーキテクチャ3案を比較検討する実戦演習。

case-study.html →